仮想通貨の転換期になるロシア侵攻

ウクライナ情勢と仮想通貨

 

 

『[1日 ロイター] - ロシアのウクライナ侵攻以降、代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインの取引が急増している。匿名性と分散性を備えた仮想通貨で資金を保管・移動しようと、両国の人々がビットコインに殺到しているためだ。

 

  3月1日、ロシアのウクライナ侵攻以降、代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインの取引が急増している。
 
 カナダのトロントで2014年5月撮影(2022年 ロイター/Mark Blinch) クリプトコンペアのデータによると、ルーブル建てビットコインの取引は、2月24日にロシアの侵攻が始まると過熱し、1日当たりの取引高が前日比259%増の13億ルーブル(約13億5000万円)に達した。

 

  また、ウクライナでは仮想通貨交換を手掛けるクナの1日の取引高が1億5000万フリブナ(約5億7000万円)と3倍余りに膨らんだ。

 

 デジタル資産投資会社Radklのマネジングディレクター、ビア・オキャロル氏は、ウクライナでの戦闘激化と西側諸国の対ロシア制裁で、ビットコインが「価値の移転」に使われる傾向が表面化したと述べた。

 

 オキャロル氏は「基本的に、政府の管理下になく、緊急な法的措置の影響を受けない通貨を持つのは実に興味深いことだ」と指摘。

 

ロシアの市民は、価値を動かすならこれだと思ったかもしれない。一方のウクライナでは価値を持ち込む手段になった」と言う。

 

  ロシアのウクライナ侵攻から5日間でビットコイン相場は13%上昇した。

 

 一方、S&P総合500種株価指数の上昇率は約2%。伝統的な安全資産である金は、侵攻当日に3.5%上昇したが、その後はほぼ横ばいだ。

 

 コイングラスのデータによると、ロシアのウクライナ侵攻当日、ビットコインは約3億ドルの売り持ちが解消された。

 

 またシンガポールに拠点を置くQCPキャピタルによると、レバレッジの掛かった買い持ちの「かなりの部分」が解消されたという。
 
 仮想通貨は分散型プラットフォーム上のウォレットに保管されることが多く、匿名性が高いだけでなく、どこからでもアクセスできる。

 

 <オリガルヒも参入>

 

 スイスクオート銀行のシニアアナリスト、イペック・オスカルデスカヤ氏は、「ビットコインロシアの新興財閥オリガルヒにとって制裁を回避するための安全な逃避先になるだろう。ビットコインのネットワークと仮想通貨取引はいずれも監視の対象から外れているためだ」と指摘。

 

 「仮想通貨は、流動性が不要な保有資産の大部分にとって強力な価値貯蔵場所として機能する可能性がある」と語った。

 

 ただ、仮想通貨保有することで制裁を回避するルートが手に入るという事実は、仮想通貨推進派にとっては諸刃の剣になりかねない。

 

  デジタル資産運用会社アーカの調査部門責任者、ケイティ・タラティ氏は「北大西洋条約機構NATO)加盟国仮想通貨の利用を規制する可能性があるが、裏を返せば、地政学的な混乱が生じている地域でより広く普及することもあり得る」と述べた。

 

  ウクライナもまた、世界各地に広がり、匿名性を持つという仮想通貨の特質にいち早く気付いた。
 
 フョードロフ副首相ツイッター仮想通貨ビットコインとイーサのウォレットのアドレスを投稿し、「ウクライナの人々とともに立ち上がろう。仮想通貨による寄付を受け付ける」と呼びかけた。

 

  ブロックチェーン分析会社エリプティックのデータでは、ウクライナの政府非政府組織はこの呼びかけ後に2200万ドル余りの寄付を暗号通貨で集めた。

 

  このようにビットコイン地政学的リスクの高まっている地域で選ばれる通貨として台頭しているかもしれない。

 

 ただ、ビットコインがより幅広く使われる「安全資産」、つまり「デジタルゴールド」の1つになれるかどうかについては見方が割れていると、市場関係者は注意を促している。

 

  仮想通貨仲介会社セキュア・デジタル・マーケッツの共同創業者であるザッハ・フリードマン氏は、ビットコインロシアのウクライナ侵攻後の値上がりで、「乱世における価値の貯蔵場所という物語性」が一段と強化されると見ている。

 

 <ステーブルコイン

 

  ドルなど法定通貨を裏付け資産とする仮想通貨である「ステーブルコイン」にも資金が流入している。 コインマーケットキャップの分析では、2月25日の時点で1日当たりの仮想通貨取引全体の83%余りをステーブルコインが占めた。

 

  最大のステーブルコインである、ドルを裏付けとするテザー時価総額が約800億ドルと過去最大を更新。金を裏付けとするパックス・ゴールドは2日間で時価総額が1億ドル近くも増加した。 (Medha Singh記者、Lisa Pauline Mattackal記者)』

 

  ロシア軍がウクライナに侵攻して攻撃を初めて、仮想通貨が脚光を浴びてきた。

 

  ロシアの銀行の一部をSWIFTから除外。 これでロシア経済はガタガタとか言っている人達がいるけど、バイナンスをはじめ仮想通貨取引所ロシア人を排除しないと声明。

 

  まあ、顧客保護もあるし、ロシア人の中でもウクライナ侵攻反対、戦争反対と言っている人達も大勢いる。

 

 ロシア人だというだけで仮想通貨のアカウントを止めるのは難しいだろう。

 

  そもそもビットコイン(BTC)など仮想通貨は、国家をはじめ誰からの支配からも逃れるという信念を持っているコインがあるからね。

 

  そうなると、ロシア人富豪暗号資産と言われる仮想通貨を利用するようになるだろうね。

 

 一般ロシア人だってそうだろう。 ギリシャキプロスの債務問題の時も、ビットコインの値段が上がった。

 

 自国の通貨の信用が失われた時は仮想通貨に逃げる傾向がある。ベネズエラなどもそう。
 
 それに銀行が当てにならなくなっても、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)などの仮想通貨スマホのウォレットさえあればいい。

 

 銀行だと引き下ろしに制限をつけられたりするけど、仮想通貨は大丈夫。 ビットコインボラリティが高いから、実際の通貨と連動するステーブルコインにするかもしれない。

 

 テザーだけでなくUSDC、BUSD、DAIなど多くのステーブルコインが出てきているからね。 それだけでなく、仮想通貨の中にはDashなどのように取引が見えない匿名性が高いコインもある。

 

 つまり、誰が誰に送ったかがわからない。 先進諸国が仮想通貨に乗り気じゃないのは、この匿名性がマネーロンダリングに利用されることを懸念している部分もある。

 

  ロシア企業と取引できないと言っても、相手先や送り主がわからない仮想通貨を使えば、チェックはかなり難しくなってくるのではないだろうか??

 

 SWIFT除外だけで解決しない問題もありそうだよね。

 

  これでロシア経済はボロボロだろうという考えにはならないかもしれない。 また、仮想通貨は送金が素早くできるというメリットがある。

 

 銀行間の面倒な手続きで何日もかかるのではない。早ければ1分、遅くても10分以内には相手のウォレットに届く仕組みだ。 今回のウクライナ情勢の時には、救援物資などの緊急性が要求される。

 

 銀行間の取引をしていたら間に合わないこともあるだろう。

 

 それでウクライナ政府ビットコインイーサリアムポルカドットなど幾つかの仮想通貨で寄付を得た。これは今までの戦争でなかった形態だろう。
 
 仮想通貨は保存だけでなく、送金面でも大きなメリットがあるのだ。 仮想通貨が世に広く知られるというメリットはあるし、悪用されるというデメリットもある諸刃の剣だ。

 

  ただ漁夫の利で、中国のデジタル人民元が使われるようになって、ドル経済を破壊する可能性もある。 中国は世界から叩かれるのを恐れて中立っぽく振舞っているが、ロシアの経済を支えるべく輸入を増やしているとも言われている。

 

 その時の決済がデジタル人民元になって浸透していくようになるかもしれない。 中国北京オリンピックでもデジタル人民元をアピールして、世界に広めようとしているから、丁度いい機会ととらえるのではないかな?

 

 いずれにしても、このロシアのウクライナ侵攻は、これまでの決済やお金の保存など、従来の方法を大きく変える世界の転換点になるかもしれないね。