脳腫瘍の治療法

脳腫瘍の未来研究  

 



iPS細胞ゲノム編集で特殊な遺伝子を入れて、悪性の脳腫瘍(しゅよう)を治療する研究を、慶応大の戸田正博教授(脳神経外科)らのチームが進めている。

 

 2026年の臨床応用をめざす。iPS細胞を使った治療で心配される、入れた細胞ががん化するリスクはないという。脳に入れた細胞が腫瘍を巻き込んで一緒に死ぬ、という方法だからだ。

 

 治療の対象は、膠芽腫(こうがしゅ)という悪性度の高いがん。脳腫瘍全体の1割程度を占める。手術で取れる範囲を除去し、抗がん剤放射線による治療が標準的だが、5年生存率は約10%と低い。  

 

 治療が難しい理由について、戸田教授は「脳に染みこむように広がるため、手術で取り切れず、薬や放射線も届かずに効果が出にくい」と説明する。

 

 シャーレ上の実験ではがんをすべて殺せても、抗がん剤を脳内に届けられなかったり、放射線を脳の奥まで到達させられなかったりするのが課題となっている。

 

 戸田教授らは2000年代から、脳にある神経幹細胞という神経の元となる細胞が、患部に向かっていく現象があることに着目。なぜ向かうのかはよく分かっていないが、「おそらく腫瘍による炎症に対処しようという動きでしょう」。

 

 「神経幹細胞を治療に応用できないか」と発想したものの、がんが広がる患者の脳から神経幹細胞を取り出すのは非現実的だった。

 

 壁にぶつかっていたが、07年に山中伸弥・京都大教授が体のあらゆる組織になれるiPS細胞を人の細胞から作ったと発表。「これは使える」とひらめいた。

 

  iPS細胞を使ってどのように治療するのか。

 

 研究を重ね、たどり着いたのが、遺伝子を自在に入れられるゲノム編集の技術と組み合わせて、iPS細胞を改良する方法だ。  

 

 酵母には、抗菌剤の成分を取り込んで抗がん剤の成分に変えてから、自らは死ぬという働きをもつ遺伝子がある。この遺伝子を入れたiPS細胞を、神経幹細胞に変化させる。  

 

 神経幹細胞を脳に注入すると、腫瘍をめがけて脳の奥にも届く。細胞が行き渡ったところで、抗菌剤を服用。血液を通して脳に到達した抗菌剤を元に細胞が抗がん剤を作り、腫瘍とともに死滅する、という仕組みだ。』

 

 iPS細胞ゲノム編集で特殊な遺伝子を入れて、悪性の脳腫瘍(しゅよう)を治療をするという研究が進められている。 これまで脳にしみこんで手術や薬、放射線もできない状況らしい。

 

 それがノーベル賞を取ったiPS細胞を使って治療の可能性を見つけたというのは凄いなと思う。

 

ただ、それ以上に人間って、普段意識していないけど細胞レベルで色々役割分担できているんだなと改めて思った。

 

 健康でいることは当たり前のようで、実は細胞レベルで毎日努力しているから維持できているんだな。  

 

 酵母には、抗菌剤の成分を取り込んで抗がん剤の成分に変えてから、自らは死ぬという働きをもつ遺伝子があるというなんて、初めて知ったよ。 手術ができなくても、こうした神経幹細胞を使って腫瘍を撲滅させることができるようになるかもしれないね。

 

  こういう新しいものを開発する研究者って、既存知識に別の知識を組み合わせる発想ができる人なんだろうな。 これって会社員でも言えるだろう。

 

  新しいツールが出たら、既存の知識と組み合わせて、問題解決できる新たな商品を作ったり、マーケティング手法を変えてみたり。

 

 AI人工知能)がどんどん進化している中、こうした新しいものを生む出す力が21世紀型の優秀な人材として、ますますクローズアップされていくだろうね。