人工中絶に対するブラジル大統領発言

世界の中絶問題  

 

 

『【AFP=時事】ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は23日、レイプされて妊娠した11歳の女児が人工妊娠中絶手術を受けたことについて、「容認できない」と非難した。地元メディアによると、女児は長い法的手続きの末、今週ようやく中絶手術を受けた。

 

  ブラジルでは、レイプによる妊娠、母体に危険が及ぶ場合、または胎児に異常がある場合のみ中絶が認められている。

 

 だが、女児が最初に受診した病院は、規定では20週までしか手術が行えないとして、裁判所に決定を委ねていた。

 

 女児の訴えは国内で波紋を呼び、「子どもは母親ではない」というスローガンがSNSで拡散した。  

 

 極右のボルソナロ氏は「妊娠7か月の胎児にとっては、どのように妊娠したかとか、(中絶が)合法とかは関係ない。無力な存在の命を奪うのは容認できない」とツイッターTwitter)に投稿。

 

 女児への中絶手術を「虐待」と呼び、調査を命じたと明らかにした。同氏は、一人で決められるなら中絶を全面的に禁じたいという主張を以前から繰り返してきた。

 

  女児がボルソナロ氏の言うように妊娠7か月だったのか、AFPは現時点では確認できていない。【翻訳編集】 AFPBB News

 

 今、アメリカで中絶反対派と容認派で大きな論争が起こっているが、中南米でも大きな問題になっている。

 

  南米で一番の領土を持ち、パワーカントリーであるブラジルでも大統領が中絶を非難している。 その状況を見て驚いた。

 

 中絶をしようとしたのは11歳の女の子。 日本で言えばまだ小学生の女の子だ。しかも、その子はレイプという自分で望まない形で妊娠したという。

 

 そんな状況でもブラジルのトップであるジャイル・ボルソナロ大統領が「認めない」と非難しているのには、呆れてしまった。 ブラジルの法律にも合わない・・・。

 

 中絶拒絶派は授かった命を勝手に殺すなど行けないという主張。 これはキリスト教の影響も大きく影響しているようだ。神からの授かりものを人間が勝手に葬り去るというのが問題なのだろう。

 

  しかし、それは物事の一面しか見ていないように思う。

 

  11歳の女の子が出産したとして、小学生が一人で赤ちゃんを育てられるわけがない。 周囲の協力がないと生まれてきた赤ちゃんは死んでしまう。そんな状況は無視している。

 

  それに、まだ大人とはいいがたい母体のことは考えないのだろうか。 世の中には出産で命を落とす母親もいる。子供の出産強要によって、赤ちゃんだけでなく11歳の女の子も死んでしまうかもしれない。

 

  レイプという本人には何の非もないにもかかわらず、望まない出産強要で自分の命の危険も出てくるかもしれないのだ。 しかも周囲の協力が得られないかもしれない(金銭的、心情的など)状況だとしたら、生まれてきた赤ちゃんが幸せになれる確率はグッと下がるのではないだろうか。

 

  出産が無事だったとしても、母親となった女の子は生まれてきた赤ちゃんを愛せるかどうかは微妙だ。ましてやレイプした男の子ともなると、複雑な心情になって当たり前。 それに赤ちゃんが障害を持って生まれてきたり、母体が傷ついた結果、二度と妊娠できなくなる可能性だってある。

 

 本人たちが望まない出産をしても、その家庭が壊された場合、誰がどのように責任を取るというのだろう?

 

 一般的に、家族の愛に恵まれなく育った子供は道を外す可能性も高くなる。 そもそも生まれた子が自分の出生の経緯を知ってしまったら、その確率はもっと上がる気がするだけど。

 

 ブラジルでは街でも殺人事件が起こるし、貧困者が住むスラムが犯罪温床の問題になったりもしている。国が無条件に出産を強要するだけだと、ブラジル社会にだって悪影響を与えるかもしれないのだ。

 

 一国の大統領が発言していい内容とは思えない。状況を全く考えず、「中絶は悪」ということだけに洗脳されているだけのようにみえるね。理由はただそれだけ。

 

  人の幸せはどこにいったのだろう?

 

 中南米カトリックの信者が多いので、中絶禁止を主張する人が多いのも事実。 ちなみにボリビアでも同じようなケースがあった。以下の記事を見てほしい。

 

 

『【10月29日 AFP】南米ボリビアの人権オンブズマン事務所は28日、義理の祖父にレイプされ妊娠した11歳の少女について、本人の希望があれば人工妊娠中絶を受けられるよう支援すると表明した。

 

 同事務所によると、カトリック教会少女の中絶に異議を唱えているという。

 

  オンブズマン事務所の声明によると、少女は妊娠21週目で、当初は中絶を希望する意思を示していたが、教会や医療従事者、現地当局から、処置を受けることを阻止されている。

 

  同事務所は、「家族やあらゆる機関、組織、宗教団体」からの干渉を排して「合法的な妊娠中絶のための手続きを再開する」としている。

 

  カトリック教会は今週、少女を保護施設に移したと明かし、教会の反中絶の立場を強調した。

 

  サンタクルス(Santa Cruz)大司教区は、「子宮の中の人に、母親が受けた虐待の責めを負わせるべきではない。一つの犯罪は、別の犯罪では解決されない」と主張した。

 

 国連(UN)ボリビア事務所は現地当局に対し、「包括的かつ適時に適用されなければならない」少女の保護に関する国際的ガイドラインを参照するよう要請。

 

 被害少女は妊娠によって「自身の生命や健康、人生設計だけでなく、精神・情緒面での健康」も脅かされることになると指摘した。  

 

 加害者の裁判は、まだ始まっていない。  ボリビア憲法裁判所は2014年、レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠や、母体に危険が及ぶ場合には人工妊娠中絶を認めるとする判断を出している。

 

  極めて保守的でカトリック教徒が多い中南米で、中絶が合法とされる国はウルグアイキューバ、アルゼンチン、ガイアナのみ。メキシコでは、32州のうちメキシコ市と他4州でしか認められていない。  
 
 エルサルバドルホンジュラスニカラグアドミニカ共和国、ハイチでは中絶は禁止されており、他の大半の国でも、医療上の理由かレイプによる妊娠の場合に限り認められる。(c)AFP』

 

  ブラジルと国境を接するボリビアの方がきちんと問題を整理しているように思うね。 中絶の是非は正解はないかもしれない。 ただ、母親になる女の子をはじめ、子供ができるということは女の子や周囲の人達の今後の人生設計にも大きな影響を与える。

 

  子供ができたら生活できなくなってしまうという家庭だってあるだろう。 ブラジルの大統領がそれを強制するというなら、国で金銭的なバックアップ子育てサポートの仕組みを提供すべきだと思うな。それでも人間の心情は変えられないだろうけど。 

 

  ブラジルと国境を接するボリビアの方がまだきちんと問題を整理しているように思うね。

 

  中絶の是非は正解はないかもしれない。 ただ、母親になる女の子をはじめ、子供ができるということは女の子や周囲の人達の今後の人生設計にも大きな影響を与える。

 

  子供ができたら生活できなくなってしまうという家庭だってあるだろう。 ブラジルの大統領がそれを強制するというなら、国で金銭的なバックアップ子育てサポートの仕組みを提供すべきだと思うな。それでも人間の心情は変えられないだろうけど。