パナマ水不足で物流に影響
『【AFP=時事】大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河(Panama Canal)で水不足のため航行制限が導入されているが、運河当局はこのほど、十分な降雨が望めない場合には制限を1年間継続する方針を固めた。
船舶が高低差のある運河を通航するには、閘門(こうもん)に水を注入して水位を調整する必要があるが、降雨量が不足しているため十分な水を確保できていない。
パナマ運河庁のイリヤ・エスピノ(Ilya Espino)副長官は24日、AFPに対し、向こう3か月間に十分な雨が降らなければ、通航制限を「1年継続することを検討している」と述べた。利用者はその間に対応策を検討できるだろうとしている。
パナマ運河の通航には、1隻当たり2億リットルの水が必要とされる。しかし、エルニーニョ(El Nino)現象の影響もあり、パナマは現在、深刻な干ばつに見舞われており、当局は通航制限を導入。
そのため滞船が発生しており、1日当たり通航数は昨年は平均40隻だったが、現在は32隻にまで減少している。』
世界の物流は海の輸送でかなりが賄われている。
その船の輸送では幾つかのポイントがある。
船の輸送はマラッカ海峡やソマリア沖では海賊による被害があったりと危険なこともある。
それよりも輸送路で大事なポイントが2つある。
それがエジプトのスエズ運河とパナマのパナマ運河だ。
この2つは迂回路がとてつもなく長く、輸送日数やコストも増大する為に、どうしてもここを通過しないといけない感じになっている。
スエズ運河は地中海から紅海を通ってインド洋に抜けるルート。
このスエズ運河を通過しないと、南アフリカの喜望峰を通過するような形なり、大変なコスト増とともに日数もかかってしまう。
もう1つがニュースで出ているパナマ運河だ。
これは大西洋と太平洋を結ぶルートだがパナマ運河通過ができないと、南米のアルゼンチンを回るルートになってしまう。
地図を見てもらえば一目瞭然だけど、こちらも大幅な距離が増大されることになる。
その為、中米のニカラグアのニカラグア湖を利用したニカラグア運河の計画もあったが、2018年に計画が中止になったようである。 だから今もパナマ運河一択。
パナマ運河は以前はアメリカが管理していたが1999年12月31日にパナマに返還された。
その後は、パナマが運河を管理して通航料を徴収している。
アメリカ管理時代に比べ大幅な値上げをし、今は一隻平均54000ドルくらいになるらしい。
それでも、南米を迂回するようにはコスト削減になるので、パナマ運河を利用するのだ。
パナマはこの通航料でかなり収入が入ってきている。重要な収入源だ。 パナマ運河は閘門式で、太平洋や大西洋とガトゥン湖の水位が違うため水を入れたり抜いたりして船を上下させて移動させているのだ。
実際にミラフローレス閘門で見たことがあるが、船を前後の壁で封鎖してそこに水を流し込む。船がだんだん上がってくるという感じ。
「1隻当たり2億リットルの水が必要とされる。」というのは、その流し込む水の量のことだ。
今ニュースになっているのが、その船を上下させる水が足りないということ。
エルニーニョ現象でパナマが渇水に陥っている。
「1日当たり通航数は昨年は平均40隻だったが、現在は32隻にまで減少している。」ということは、1か月(30日計算)に1200隻だったものが960隻まで落ち込む。
1200-960=240隻減。 単純に計算しただけでも1年間で240×12=2880隻の減。
パナマ運河通過で待たされるとその分、当然滞在費や日数が増える。
ちなみに貨物発着地による順位で日本は3位らしいので、かなりの影響を受けるのだ。
それは物流の遅れとなってくるだろうし、値段も販売価格に上乗せされてくるだろう。
それでなくてもがオイル代も上がっている状況だ。
インドや中国などロシアの経済制裁をしていない国は売り場のなくなったロシアの原油を大量に安く買い込んでいるらしいいけど、日本は欧米に追従しているから値段は高騰しているよね。
パナマの水不足が実は私達にも見えないところで影響してくるかもしれないんだよね。
今や日本は貿易なしでは食料自給率などを見ても生きていけない国。
中米のパナマのニュースだからって、無関心ではいられないのだ。