恐怖の刑務所暴動(エクアドル)
『【AFP=時事】南米エクアドルの矯正当局SNAIは1日、国内各地の六つの刑務所で、受刑者らが刑務官と警察官57人を人質に取っていると明らかにした。
フアン・サパタ(Juan Zapata)内相は首都キトで会見し、「当局者の安全が懸念される」と述べた。 サパタ氏は先に、現場はクエンカ(Cuenca)の刑務所だと述べていた。
SNAIはその後、六つの刑務所だと訂正したが、具体的な場所は明らかにしていない。
南部コトパクシ(Cotopaxi)州の州都ラタトゥンガ(Latacunga)にある主要刑務所では前日、警官や兵士数百人を投入し、武器・弾薬、爆発物の捜索作戦を実施していた。
人質事件について、SNAIはこの作戦への報復だと発表したが、一部の当局者は、他の刑務所への移送に対する抗議行動だと述べている。
エクアドルの刑務所は、コロンビアやメキシコの麻薬カルテルにつながるギャング同士の抗争の舞台となっており、2021年以降430人以上の受刑者が死亡した。刑務所内で焼かれたり切断されたりした遺体が見つかることもしばしばある。
エクアドルは世界最大級のコカイン生産国であるコロンビアとペルーの間に位置しながら近年まで平和だった。だがここ数年で麻薬密売の拠点となり、暴力がはびこるようになっている。』
エクアドルの刑務所で受刑者が看守や警官を人質に取ったというニュース。
日本人的常識からみれば「はあ?」というような内容。
そもそも刑務所は犯罪者を拘留し、更生させる施設だろう。
刑務所では看守が通常力を持っている。
世界の中には特殊詐欺事件で捕まったフィリピンの刑務所のように金を握らせて受刑者を操れる刑務所もあるが、それでも間接的なコントロールである。看守の力がないわけではない。
ところが、エクアドルの刑務所は看守に力がないようだ。
エクアドルの刑務所は、コロンビアやメキシコの麻薬カルテルにつながるギャング同士の抗争の舞台となっており、2021年以降430人以上の受刑者が死亡したらしい。
3年経たないうちに430人以上が刑務所で死亡。
病死なども含まれているのかもしれないが、それでも1年で140人以上が死んでいる計算になる。
日本では看守の扱いが酷くて問題になったケースはあるが、暴動が起こるなんて発想は全然ない。 何より驚いたのが警官も人質ってこと。
エクアドルの刑務所状況が酷いから、警官や兵士が投入されたはずなのに・・・。
その警官が57人も人質に捕られること自体、発想が追い付かないかもしれない。
警官って犯罪を取り締まるプロだろ。
そう思う日本人は多いと思う。
実は南米の警官はあんまり信用できない面が多い。
それは警官は決して人気がある職業ではないからだ。
南米の強盗は大抵銃を持っている。
警備員にしても警官にしても、銃を持っている犯罪者に殺されたり、負傷させらたりすることがけっこうある。凶悪犯罪が多いのだ。
そして概して、南米の一般の警官の給料は安い。
つまり、危険な仕事のはずなのに、安月給というわけだ。
そんな警官に誰がなりたいと思う?
日本のように街の治安を守りたいから警官を目指すというような志を持った警官は圧倒的に少ないと思っていい。
エクアドル政府としてもある程度の警官数を集めなきゃいけないから、人物的にどうかと思う輩も警官になったりしているんじゃないかな?
だからこそ、警官になっても安月給だから、観光客などに難癖つけて賄賂を要求する輩も出てくるのだ。元々素行に問題がある輩も警官になる例もあるだろう。
私が南米を旅行していた時は、警官より兵士を信頼しろとか言われていたよ。
南米では警官といえども信用するなと旅行者の間では常識になっていた。色々な話を聞いたからね。
さて、このエクアドルの刑務所の警官だが、暴動を鎮めるために派遣されたのに、人質に捕られるという事は自分の命を優先したということじゃないかな?
自分達より受刑者の犯罪グループの方が力が明らかに上だから、無駄死にしたくないという感じではないかなぁ。それは色々な面で大問題なんだけどね。
それだけエクアドルでは刑務所内でも、銃などの武器が自由に途に入るという事なんだろう。
これまでにもエクアドル刑務所内では受刑者同士の抗争で多くの死者を出している。 時々日本のニュースになるよね。刑務所暴動っていうニュースは、大抵がエクアドルだ。
かつてはゲリラが幅を利かせていたペルーやコロンビアと違って、エクアドルは治安がいい方だった。 でも現在は状況が大きく変わったようだ。
ちなみにSNAIというのは、エクアドルの刑務所を管轄する政府機関だ。
そんな専門機関があるにも関わらず、度々エクアドルの刑務所では暴動が起こっている。
治安能力0ではないか?
そもそも刑務所の実態を把握し、もう少し警官数を増やすとか何か対策できなかったのだろうか。警官57人が人質って恥ずかしすぎるだろ。
最初にフアン・サパタ(Juan Zapata)内相が場所はクエンカの刑務所と言っていたのに、後でSNAIが6つの刑務所と訂正したのは、自分達の責任逃れをする必要があったのでhないかと勝手に思っている。 実際、6つの刑務所をはっきりさせていないしね。
エクアドルの刑務所では1か所で警官が50人以上人質に捕られたということになれば、SNAIや警察組織の責任問題にも発展しかねないからね。自己防衛ってやつじゃないかと。
クエンカというのはアンデス山脈に位置する歴史の都市。
グアヤキルなどに比べると、かなり治安がいいように思っていたんだけどな。
コロンビアはメデジンカルテルやカリカルテルが幅を利かせていた以前に比べるとよくなっているが、その代わりにエクアドルがギャングのターゲットになってきた感じかな。
エクアドルは海にも近いからね。 最近では麻薬組織は潜水艇などを使ってヨーロッパやアメリカ、メキシコに麻薬を運ぶと言われている。
いずれにしても、エクアドルで刑務所に入ったら生きて出られるかわからない感じだね。
メキシコでもそうだが、麻薬組織は巨大な力を持っている。金もある。武器もある。
そしてこの麻薬問題は貧困問題が解決しないと難しいだろう。
南米の貧農と言われている村の人達はまともに政府の支援など受けていない。
そういうところに、麻薬栽培を奨励し、それなりの報酬を払ってくれる麻薬組織があったら、そちらを信用してしまうのではないか?
昔のゲリラはそうやって自分達の勢力範囲を広げていった面がある。
コロンビアは右翼、左翼の両方のゲリラがいたからね。
麻薬組織からしてみればはした金でも、貧しい農民からしてみれば他の作物を作るよりもはるかに収入がいいとなればそちらを選ぶだろう。金になる換金作物が必要なのだ。
貧農の目線から見ると、どの作物が一番お金になるかということ。
自分達の生活が懸かっているし、実際に何もしてくれない政府に期待していないということがあるだろうね。
この麻薬問題は、南米の貧困問題に直結していることが多く、根本的解決はかなり難しいのである。
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