ブラジル最高裁VSイーロン・マスク
『【サンパウロ時事】ブラジル連邦最高裁判所は30日、米実業家イーロン・マスク氏がオーナーを務めるX(旧ツイッター)に関し、ブラジルでのサービス停止を命じた。
同裁が命令した一部利用者のアカウント凍結に応じなかったためで、マスク氏が「検閲」として拒否した騒動は、異例の事態に発展した。
Xはブラジルではルラ大統領も積極的に活用。人々の生活に根付いており、今回の決定は大きな影響を与えそうだ。
マスク氏は最高裁の決定を受けて、Xに相次ぎ投稿した。「言論の自由は民主主義の根幹だ。選ばれていない偽の裁判官が政治目的で破壊しつつある」と批判。「ブラジルで一番の真実の源が閉鎖される」とも嘆いた。
最高裁はこれまでに、2022年のブラジル大統領選に絡んだ捜査の一環として、Xへの投稿で偽情報などを流した利用者のアカウント凍結を命令。応じなければ罰金も科すと通知した。
命令を拒否していたXは8月、法定代理人が逮捕されるとの通告が最高裁からあったとして、ブラジル事業の閉鎖を発表。最高裁は28日、新たな代理人を指名しなければ、Xのサービスを停止させると警告していた。
最高裁のモラエス判事は30日、裁判所がXに出した命令が順守され、罰金が支払われるまでブラジルでのXの「即時かつ全面的な停止」を命じた。科された罰金は累計で1800万レアル(約4億7000万円)を超えている。
モラエス氏はXの「利用禁止」を徹底するため、携帯電話の「基本ソフト(OS)」を提供する米アップルとグーグルに対して、Xのアプリが利用できなくなる措置を講じるよう命令。特殊な技術を使って遮断を回避してXの利用を続ける個人や企業に対しては、1日当たり5万レアル(約130万円)の罰金を科すとしている。
その後、「不必要な混乱を避ける」としてアップルとグーグルへの命令は停止した。』
ブラジル最高裁がXへの投稿で偽情報などを流した利用者のアカウント凍結を命令したことから事件が発生。 Xオーナーのイーロン・マスク氏はブラジル最高裁の命令を拒否。
すると、今度はブラジル最高裁がブラジルでのXのサービス停止を命じたのだ。
いや~、ブラジル最高裁ってかなり強引なんだね。
どうやって、ブラジル国内のX禁止を実行できるんだろう? Xはブラジルではルラ大統領も積極的に活用していて、ブラジル国民の生活に根付いているらしいから、いくら最高裁が命令しても実施は難しいんじゃないだろうか。
これができる国はロシアや北朝鮮と言った独裁国家だけだよ。
プーチン大統領や金正恩総書記のように国内で誰も口出しできない状況であれば、無理矢理法律を作って禁止することはできるだろう。 もし、これができるなら、ブラジルは独裁国家だよね。しかし、ブラジルは独裁国家ではない。
ルラ大統領さえもXを使っている状況でどうやって禁止できるというのだろうか。
ブラジル最高裁の権限がどこまで強いのかはよくわからないが、これまでブラジルで使っていたXを使えなくするには、中国のように国家的プロジェクトとして見えなくするような措置が必要だろう。
ブラジル政府やブラジルのIT企業がそれに従うとは思えないのだが・・・。 それに、ブラジルは多くの国に囲まれているから、完全に取り去ることはできなとは思うけど。
確かに偽情報を流すのは世論操作にもなるし、大きな問題だ。
しかし、一方で偽情報と断定できるのは誰なのかという問題も生じる。
これは言論の自由と民主主義に大きくかかわる問題だ。 私達はニュースを見て世界情勢を見聞きしているが、それはジャーナリストなどマスコミを通してである。
マスコミやジャーナリストが誰かに買収されて偽の情報を流した場合は、誰が検証できるというのだろう?
実際、戦時中は日本政府の意向に沿った情報を国民に流していたし、現在ロシアや北朝鮮では現在進行形だ。プーチン大統領や金正恩総書記に不都合なニュースは事実でもカットされ、都合のいいニュースが流される。それどころか、捏造したニュースも流されているとも言われている。
そうすると、ブラジルの最高裁がいくら命令しても、言論の自由に盾にイーロン・マスク氏が罰金を払って従うわけがない。
それどころか、イーロン・マスク氏はオーナーであるスターリンクを使ってX使用をアシストするかもしれない。 ロシアが侵攻したウクライナで実際にスターリンクでサポートしていたしね。
個人が自由に意見を言うというのは民主主義の基本である。
少数派意見に真実が隠されている場合もある。
ブラジルのルラ大統領がこれにどう対応するのか、見ものだね。
恐らくブラジル国民に根付いているX禁止となると、政治的リスクも大きいし、ブラジル国民も黙っていないのではないか。 一度、デモが広がると、沈静化するのに莫大な時間とコストがかかるからね。