本当の勇気
『ロシアの国営テレビで14日、夜の生放送のニュース番組中に「戦争をやめて。プロパガンダ(政治宣伝)を信じないで」との紙を掲げた女性が登場し、画面が切り替えられる放送事故があった。
女性は、キャスターがニュースを読み上げている最中に画面に登場し、反戦を訴える紙を掲げ、「戦争をやめて」と叫んだ。
タス通信が情報筋の話として伝えたところでは、女性は国営テレビのスタッフで、その後、警察署に連行されたという。
一方、メディアに対して「特別軍事作戦」(侵攻の露側呼称)を「侵攻」や「戦争」と呼ぶことを禁じているほか、ロシア軍に関する「虚偽情報」を拡散した場合は最長禁錮15年を科す法律も施行している。』
ロシアの国営テレビの生放送のニュース番組中に「戦争をやめて。プロパガンダ(政治宣伝)を信じないで」との紙を掲げた女性が登場したのには驚いた。
これができるのは、基本的に国営テレビのスタッフだけだろう。
まさかプーチン大統領も、おひざ元であるロシアの国営放送でこんな事件が起きるとは夢にも思っていなかっただろう。
ロシアの国営テレビなどロシア政府のプロパガンダ以外のニュースを流すマスコミは、どんどん放送禁止に追い込まれている。
つまり、プーチン政権に都合の悪い情報は強制的にシャットダウンをするということだ。
ロシア国内の反戦を訴えているというニュースは日本のマスコミにも取り上げられている。
しかも、ソビエト連邦時代というのは上からの決定で、ほとんどが動いていた時代を生きてきた人達だ。自分の頭で考えるというような思考能力もあまり鍛えられていないかもしれない。
ロシアの年代間の格差は情報リテラシーの格差となって、物事を判断する際の元が違ってきているという事だ。
自分の人生を棒に振ってしまう可能性が高い。
そのリスクを背負って「反戦」のプラカードを挙げた女性の勇気には恐れ入った。
『オフシャニコワさんは放送後、直ちに逮捕され、ビデオメッセージについて罰金3万ルーブル(約3万3000円)を科せられた後、釈放された。
BBCのキャロライン・デイヴィス記者による単独インタビューに応じたオフシャニコワさんは、事情聴取した捜査員について、自分の抗議行動が自発的なものだと信じようとしなかったと話した。
「職場で何かもめごとがあったのかとか、ウクライナについて怒っている親類がいるんだろうとか、私が西側の特殊機関のためにやったんだろうとか」捜査員に繰り返し聞かれたと、オフシャニコワ氏さんは説明。
「私があまりに政府に反対することだらけで、もう黙っていられないんだと、理解してもらえなかった」とした。
また、「(モスクワの)中央広場に行って抗議すれば、ほかの人たちと同じように逮捕されて警察車両に放り込まれて、裁判にかけられるのは分かっていた」ため、生放送中にプラカードを掲げることにしたと述べた。』
こうやって世界のマスコミに大きな注目度を浴びれば、プーチン政権もなかなか手出しできないだろう。ロシア反戦のシンボルのような存在になったから、下手に手を出すと、言い訳を考えられにような面倒にも巻き込まるからだ。
国際的に注目されたニュースとなったので、とりあえず軽犯罪で済んだようだが油断は禁物。 こういうのって、世界の興味が薄れて誰も注目しなかった頃に、制裁をくだすということがある。
また本人ではなく、家族などに圧力を与えるという手段もあるし、これからも注視していってほしい。
今回のウクライナ侵攻は、ロシアのプーチン大統領の勝手な論理で始まって、結果多くのウクライナ人が亡くなったり、怪我をしたりしている。生き残っても、これまでの思い出が詰まった家や学校などは破壊された。精神的なトラウマは相当なものだろう。
ロシア国内で反戦を訴えることが、プーチンのウクライナ侵攻止める一番の方法だろう。 短期間でウクライナを支配できると踏んでいたであろうプーチンの妄想は、結果として世界中を敵に回し、今後深刻な経済制裁を受けて国としての発展は望めない状況だ。
中国がロシア支援するかもしれないが、北朝鮮と同じく、大っぴらに経済支援をしていくということは徐々に難しくなっていくだろう。
ましてや武器など軍事品を供給すると、中国自身、袋叩きに合う可能性が高くなってきたしね。 習政権の本音の部分では、中国はロシアのプーチン政権を支援したいだろうが、あまりによりすぎると中国も世界から経済制裁のとばっちりを受ける可能性もある。
中国は新シルクロードなど中国主導の世界を作りたいという野望がある中、ロシアに肩入れしすぎて、ここで世界からそっぽを向かれるのは絶対避けたいところだろう。
一方、プーチンは中国以外に頼れるところがなくなってきている。 貿易面でも国家運営面でも、中国の代わりになる国はいない。
支持率が急落するのだ。 プーチンとしてはなんとか自分の論理を正当化し、次期大統領選までに支持率を上げないといけない。
万が一にでも下げることがあってはいけないのだ。そのためにはロシア国内の情報統制をしなければいけない状況で、その為に色々な法律を制定している段階だ。
テレビ局とかを乗っ取ってロシアの勝手な言い分を主張しているプロパガンダ的放送を辞めさせたり、ロシアのプロパガンダを止めると同時にSNSなどでウクライナの真実を伝える方法を画策をしたりしてくれると、ロシアの世論も変わってくるかもしれない。
専横主義の独裁者を成敗するには、情報戦で勝つことが必要だろう。