チャットGPTが変える情報

チャットGPTと軍

『【北京=大木聖馬】中国軍機関紙・解放軍報は13日、対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」の軍事利用の可能性を分析した論考を掲載した。

 偽情報で敵を混乱させて有利な状況を作り出す「認知戦」や情勢分析などで有望だとしており、中国軍が今後、本格的に利用を検討していく可能性がある。

 論考は中国軍陸軍の研究部門の講師が執筆し、「この技術は明らかに軍事分野で応用できる」と評価した。

 平時はインターネット上の膨大な情報を分析し、戦時下では戦場に関する大量の情報を自動的に再構築して総合的な判断に活用できると指摘した。

 また、チャットGPTが自然な文章を作成できることに着目し、「偽りの言論を作り出し、民衆の心理に影響を与えることができる」と主張した。

 対象国の民衆の認知を「誘導、欺まん、操作」して、社会の分断や政権転覆の目的を達成できるとした。』

 中国軍機関紙・解放軍報対話型AI(人工知能)サービスチャットGPT」の軍事利用の可能性を分析した結果は当然の帰結だと言える。

 中国軍だけでなく、今の軍事作戦ロシアとウクライナの戦争のように物理的に殺傷、破壊のものばかりでない。

 先進国の軍ではサイバー攻撃が有効な攻撃となっている。
 また情報戦といわれるものも大きなウェートを占めるようになっている。

 情報が世論に与える影響の凄さと共に怖さというものも理解する必要がある。  

 中国政府はそれをメチャクチャ理解しているからこそ、監視カメラを街中に設置し、ネットで中国政府に不都合なことは自動的にブロックするなど中国国民が触れる情報を操作している。

 いくら中国政府でも中国の民衆が暴動を起こすと天安門事件のようになかなか収拾ができなくなるのがわかっているからだ。

 だからこそ、中国政府は時々中国民衆の不満を緩和するガス抜きをするような対策を取っているのだ。そういう過去の経験もあり、中国は情報というものへの重要性を日本人以上に理解していると感じる。

 そして、今最も注目されているチャットGPTだ。  AIを使ってビックデータから必要な情報をピックアップ。情報革命だと言われて一気に世界に広まった。

 英語以外の言語ではまだまだという面もあるが、従来の情報検索と比べれば、数段の進歩をした。そして、その技術的革新は今後物凄いスピードで行われるだろう。

 ニュースによると、軍がそのチャットGPTを使うとしたら、偽情報の作成ということだ。

 チャットGPTはどんどん精度が上がっていくだろう。GoogleもBardを入れてくるし、各分野での使い分けが出てくるかもしれないが、今以上に文章の自然さが出てくることは確実だ。

 現在でも、AIで作成した文章が人間の作成した文章に引けを取らないばかりか、あまりに自然でAIが作成したものか、人間が作成したものかよくわからないというレベルにある。

 戦時中には情報が交錯し、その真偽を確認するのは難しい。  そして、その限られた情報の中で今後の戦略を練ることも多いだろう。

 現代の戦争は情報戦とも言われているように、情報の重要性は増している。

 そんな戦争状況下では偽情報を流すことも、大きな作戦になるかもしれない。  戦略を練る元の情報が間違っていれば、当然その戦略はうまくいかないし、罠にもはめやすくなる。

 また、世論の情報操作にも大きな影響を与えるだろう。

 いかにも本当らしいニュースを流せば、それが真実かどうかはほとんどの一般人にはわからない。自分が見たり聞いたり、体験したりした1次情報でない限り、真偽はわからないのだ。

 今報道されているロシア・ウクライナ戦争に関するニュースにしても、実際に自分が現地に行ってみたり聞いたりした人以外は、それが本当かどうか調べる術はない。

 実は、ある程度信頼できるテレビ局や新聞社が報道しているから真実だろうという憶測だけだ。  

 情報で厄介なのは、偽情報であっても多くの人が信じてしまえば、それは真実として扱われることだ。逆に真実が嘘と扱われてしまうこともあるのだ。

 これまでもマスメディア第4の権力といわれていたが、チャットGPTの登場により、それがよりしやすくなったと言えるのではないか。マスコミだけでなく、個人でも情報発信できる時代だしね。一個人でも情報操作できる時代なのかもしれない。

   自分自身に専門知識がなくても、チャットGPTが文章を作成して、その文章にそれなりの専門知識が散りばめられていれば多くの人は信じてしまうのではないだろうか。

 中国軍陸軍の研究部門の講師が、チャットGPTが自然な文章を作成できることに着目し、「偽りの言論を作り出し、民衆の心理に影響を与えることができる」と主張したのはそういうことだろう。

 そして、人間の性質を見抜き、民衆の認知を「誘導、欺まん、操作」して、社会の分断や政権転覆の目的を達成できるとしたのは、おそらく正しいだろう。

 チャットGPTを使った偽情報を作れば、相手国の世論のコントロールに利用できると言っているのだ。  これからは自由主義といえども、情報コントロールが少しずつ行われていくかもしれない。

 情報野放しだと、治安や自由主義が維持できなくなるかもしれないからだ。

 過去には、テロリスト集団であるイスラムに多くの欧米の学生が参加した事実もある。 その思想を少しでも持った人間に刺さる言い回しをAIが研究すると、より洗脳しやすくなるだろう。

 同じ意味の事でも各言語で表現方法が異なるだろうが、それぞれの国民性文化背景を考慮し、それをAIで調整して文章を作り上げたなら、その言語母語話者の演説が得意な人が書いた原稿を超えてしまうかもしれない。 それだけの危険性をはらんでいる。

 今後はチャットGPTBardを基に付随したAIサービスが次々に登場してくるだろう。
 色々な角度から検討して真偽を見極められるようなサービスが必要になってくるかもしれないね。