レバノン 銀行強盗を称賛
『【AFP=時事】経済危機に陥っているレバノンで16日、凍結された預金の引き出しを求める人々が、各地の銀行5支店を相次いで襲撃した。一連の「強盗」事件は、経済難にあえぐ国民から広く支持されている。
同国では、2年前に通貨の価値が暴落を始め、銀行が預金の引き出しを制限して以来、深刻な経済危機が続いている。
レバノン銀行協会(Association of Banks in Lebanon)によると、ここ1週間に7支店で「預金者強盗」が発生。各行は19日から3日間の休業を発表した。
首都ベイルートでは14日、おもちゃの銃を持った女が銀行を襲撃し、がんの家族が治療費として必要としている預金の引き出しを要求する事件が起きていた。女はその様子をインターネットで生配信。
その後、各地で相次いだ銀行襲撃は、これに触発されたものとみられる。
AFP記者と治安筋によると、16日には同様の事件がベイルートで3件、南部で2件発生。南部ガジエ(Gaziyeh)では、銃とガソリンの入った容器を持った男が息子を連れてビブロス銀行(Byblos Bank)の支店を襲撃し、自分の預金を渡すよう要求した。
AFPの取材に応じた銀行の警備員は、男が床にガソリンをまいたと説明。男は約270万円相当の現金を手に逃走したが、直後に警察に出頭。銀行の前には、男を支持する群衆が集まった。』
レバノンで銀行強盗が称賛されたというニュースを見て、どういうこと?と思ったけど納得。
銀行強盗が頻発したきっかけは、がんの家族が治療費として必要としている預金の引き出しを要求する事件だ。 自分の犯行をなんとネットで生配信したらしい。
普通、犯行は隠そうとするものだが、逆の行動をとったというのは、レバノンの一般庶民の共感を得られると踏んだからだろう。
うやむやに警察に逮捕されて隠ぺいされるよりも、家族の危機の状況とやむを得ない犯行だということを公にして、レバノン銀行の対応を世に問うということをしたのだと思う。 その思惑は見事に功を奏し、レバノン庶民の支持を得た感じだね。
ネット社会でなかったら、なかなか伝わらなかったことが、今ではすぐに世界を駆け巡る時代。 ただ、今回の事件は、銀行が引き出し制限をかけていなければ起きなかった事件。
しかも、お金はあるのに引き出せないことで家族の命が助からないとなれば、必死になるのも無理はない。 こういう事もあるということを我々はしっかりと認識しておかなけばいけない。
日本では今のところ銀行は信頼されている。 しかし、通帳に数字が並んでいても、その全預金のお金がその銀行にあるわけではない。 つまり、全預金者が一斉に引き出しを始めたら、銀行は全く対応できないということだ。
今後は電子マネーや仮想通貨など色々な形態のお金に類似するものが増えていくだろう。そうなると現金がどうこうという問題は減るかもしれない。 ただ、ウォレットなどのアプリに制限がかけられるようになれば、結局は状況は一緒になるだろうけどね。
これは銀行にお金を預けるリスクを暗示しているかもしれない。 日本も経済が悪化し続けると、預金引き出し制限の可能性は0ではない。かつて日本でも預金封鎖が起こっているのも事実だ。
今、銀行にお金を預けていても利息はほとんどないに等しい。タンス預金は泥棒に盗まれる可能性はあるけど、泥棒に入られる確率と銀行の引き出し制限が起きる確率を考える時代が来るかもしれない。
今のところ、まだ日本の銀行は信頼されているから、タンス預金がいいとは言えないけど、状況が変われば対応も変わるということだ。
自国の通貨の信頼性がない国では、レバノンのようなことも時々起こっているんだから。 その国の貨幣価値が落ちれば、世界的に見れば自己資産は目減りしている。
今の円安のように年初から30円も落ちれば、海外旅行をしてもその分、高くなるわけだ。 簡単に言えば、同じお金でやれることが減ったり、買える物が少なくなるということだね。
円安だと日本から輸出するものは恩恵を得ていたけど、今は海外生産をしている割合も高いからあまり恩恵がないと言われている。それよりも石油や天然ガスなどの燃料、小麦やとうもろこしなどの農作物の値段が上がれば生活は苦しくなるよね。
そういう意味では、預金は日本円だけしかないというのはマネーリテラシーとしては良くないということになる。別の国の貨幣も持っていた方がリスク分散にはなるよね。
今後、少子高齢化で経済の大幅改善が見込まれない日本。
レバノンのニュースを見ていて、これからは日本人も別の視点からマネー対策が必要になってくるんだろうなと感じた。