ドバイの怖い法律

インフルエンサーの悲劇 ドバイ編

『休暇でドバイを訪れたアメリカの女性インフルエンサーが公共の場で大声を出したという理由で、投獄されかねない事態に陥っている。

   この女性の母親が、娘は 「パニック状態で恐れおののいている」と訴えた。 アメリカのインフルエンサー、ティエラ・アレン(29) さまざまなソーシャルメディアで人気のアカウント「サッシー・トラッカー(大胆なトラック運転手)」を運営するヒューストン在住の運送業者ティエラ・アレン(29)は、ドバイでパスポートを没収され、2カ月半にわたって足止めされている。

 アレンが滞在中の民泊施設から移動することができないのは、レンタカー会社の男性従業員と口論になった際に声を荒げた容疑で通報され、現地の警察による捜査の対象となっているからだ。

 アレンの母親ティナ・バクスターは本誌の独占インタビューに応じ、これほど落ち込んでいる娘を見たことがなく、ストレスで心が折れているのではないかと心配している。

 イスラム教徒の多いアラブ首長国連邦UAEの都市ドバイの法律は、欧米からの旅行者にとって衝撃的かもしれない。

 米国務省は、ドバイへの旅行を計画しているアメリカ人に「UAE公序良俗に関する法律は、アメリよりもはるかに厳しい」と警告している。

 違法行為には、公共の場での愛情表現、みだらな服装、公共の場での大声、悪態、口論などが含まれる。

 夢見た休暇が悪夢に 3月から5月にかけてドバイに住む友人を訪ねる旅は、アレンにとって夢の休暇だったが、それは「悪夢」に変わったと、バクスターは本誌に語った。

 アレンは現地で男友達とレンタカーを借りていたが、5月末、アレンの帰国予定日の前日に「ごく軽い接触事故」に巻き込まれたという。どちらの車にも最小限の損傷しかなく、レンタカーには保険がかけられていたというが、運転していたアレンの友人は警察に拘束された。 友人は1週間拘留されて、釈放された。

 だがアレンにとってドバイ警察との厄介ごとはそれだけではすまなかった。

 トラック運転の旅の記録を配信し、TikTokで18万2000人以上、フェイスブックで6万1000人以上のフォロワーを持つアレンが母親に語ったところでは、レンタカー会社(ドバイの地元の小さな会社)から、車が警察に押収されたときに車内に残されていた私物を取りに来るよう連絡があった。

 だが会社に到着すると、車内に置いてあった身分証明書と財布を返してほしいなら、大金を支払えと言われたという。

 反論は許されない

 理不尽な要求に対しアレンが反論するとレンタカー会社の従業員は攻撃的になり、彼女を怒鳴りつけて建物の外に追い出したという。アレンは怒鳴り返した。それが罪だという。

 報道によれば、ドバイでは女性は声を荒げるだけでも懲役刑になりかねない。

 「娘は恐怖でパニック状態になっていた」と、バクスターは言う。 レンタカー会社の従業員はドバイ警察にアレンを訴えた。

「最初に大声を上げたのはこの男で、しかも、娘から金を脅し取ろうとしていたのに」、とバクスターは言う。 警察は、従業員に向かって怒鳴り返すアレンが映った防犯ビデオを持ち帰ったという。

 運命を待つばかり 「娘がこれほどストレスを感じているのを見たことがない」と、バクスターは言う。「娘はストレスを隠そうとしているが、ビデオ通話をしていればわかる」「娘はただ、無事にアメリに帰って、仕事に戻りたいだけなのに」。

 バクスターは、海外にいる外国人を支援するロンドンの組織「デテインド・イン・ドバイ」に助けを求めた。

 この団体のCEOを務めるラダ・スターリングは7月17日、シーラ・ジャクソン・リー下院議員やテッド・クルーズ上院議員などアレンが住むテキサス州選出の議員たちに、「アレンが砂漠の刑務所に収監される前に助けて欲しい」と要請した、と本誌に語った。

 アレンは民泊施設から出られず、ただ運命の知らせを待っている。』

 アメリカの女性インフルエンサーが公共の場で大声を出したということで刑務所に入れられようとしているというニュース。  

 世界には色々な価値観があり、その国の価値観を尊重しなければいけない。

 一方で、人種差別虐待など内政干渉と言われようとも、外圧で何とか静止しなければいけないケースもあるだろう。

 さて最近脚光を浴びてきたアラブ首長国連邦UAE)のドバイ。  

 国会議員になって一度も登院せず、結局議員ではなくなった挙句、強制帰国させられ逮捕されたガーシーがいたのもドバイだった。

 ドバイは中東の金融センターであり、日本の金持ちもかなり移住している都市。

 しかし、UAEイスラム国家でもある。

 その為、アメリや日本とは違った法律も存在するようだ。 ここに書かれていることが事実であれば、レンタカー会社の社員が金をだまし取ろうとしていたことになる。

 当然、抗議をするアメリカ人女性。それに逆切れしたレンタカー会社の社員。  
 そこで問題になるのが、ドバイの法律

 違法行為には、公共の場での愛情表現、みだらな服装、公共の場での大声、悪態、口論などが含まれるらしい。

 口論だとレンタカーの社員も含まれる気がするが、店の中だとセーフという扱いなのだろう。

 またイスラム国家では男性は許されても女性はダメという社会的地位の面もある。
 大声で言い返しただけで刑務所行きになるかもしれないなんて、アメリカ人だけでなく日本人だって想像がつかないだろう。

 本来理不尽な要求をしてきたレンタカー会社の社員はお咎めをくらわないというのもなんだかね。  

 ドバイは中東の金融センター。そのため、多くの金持ちが暮らしている。その理由は税金だろう。法人税、住民税、事業税、固定資産税、事業所税自動車税、不動産取得税などがないので、金持ちにとっては節税できるのだ。

 だから、細かいいざこざは金で解決しようとする風潮があるのかな?

 その一方で、インド、バングラディッシュの出稼ぎ労働者が人口比でかなりの割合を占めるという面もある。けっこう複雑な構図だ。

 バングラディッシュイスラムだし、インドヒンズー教のイメージが強いかもしれないが多くのイスラム教徒が住んでいるイスラム大国でもある。 インドは人口そのものも多いからね。

 レンタカーの社員がUAEの人だったかどうかは書かれていないのでわからないが、欧米人観光客から金をもらっちゃえという発想は途上国でもよく見られる状況だ。

 もしかしたらアメリカ女性のインフルエンサーということで、公の場で派手にやらかしたのかもしれない。インフルエンサーというんだから、自己顕示欲は強いのではないかな?

 それにしても、パスポート没収で2か月以上の拘束は、けっこう心理的に響くよね。

 アメリカのインフルエンサーを敵に回すことは、ドバイの観光業にとって悪いイメージを世界に発信することになり得策ではないように思えるが、どのような結果になるのだろう?

 UAEサウジアラビアのようにチャドルをかぶったりしなくてもいいようだから、ついついイスラム国家ということ忘れてしまうのかもしれないな。

 ただ、やっぱり気になるレンタカー従業員への対応。
 ドバイ警察は、その男に対して聞き取り捜査は行わないのだろうか。