北朝鮮 デリヘルの裏側

北朝鮮の売春
 

 

北朝鮮平壌市安全局(警視庁)が最近、大規模な組織売春グループを摘発した事件についてはすでに本欄で述べた。40代男性のA氏をトップとするグループは、平壌郊外の平城(ピョンソン)、全国第2の都市である咸興(ハムン)中朝国境の新義州(シニジュ)リゾート地でもある元山(ウォンサン)、そして工業都市沙里院(サリウォン)に拠点を置き、デリヘル業を営んでいた。

 

  客は朝鮮労働党や安全局、保衛局(秘密警察)、検察所など主要機関の高位幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)で、女性を客の自宅などに派遣し、数日単位で売春を行わせていた。 女性は20代から、幼くは高級中学校(高校)を出たばかりの17〜18歳もいたという。

 

 北朝鮮では2年前にも、大規模な組織売春グループ「女子大生クラブ」が摘発されている。

 

 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、市内の東大院(トンデウォン)区域にある総合レジャー施設・紋繍院(ムンスウォン)の責任者が、有名映画俳優、平壌音楽舞踊大学、平壌演劇映画大学の教授らと組み、組織売春を行っていた。

 

  彼らは20代前半の美貌の女子大学生に「1ヶ月に500ドル(約5万3000円)以上儲かる仕事がある」などと声をかけ、施設内のカラオケ店で売春させていた。

 

 客はやはり、中央党(朝鮮労働党中央委員会)平壌市党(党平壌市委員会)の幹部らだった。関わった女子大生の数は200人に達するという。

 

 報告を受けた金正恩党委員長は、自分が大事にしている平壌音楽舞踊大学、平壌演劇映画大学の学生が売春に加担したことに激怒。組織の主要メンバーら6人を公開銃殺させた。

 

 この前例を考えると、今回摘発されたグループの首謀者らも死刑を免れないと思われる。

 

 こうした違法行為が横行する背景に、経済難による生活苦があることは想像に難くない。北朝鮮では1990年代の大飢饉「苦難の行軍」に際して売買春が増えたと言われる。

 

 それにしても気になるのは、売春させられている女性の低年齢化だ。「苦難の行軍」に際して行動したのは主に、一家を食べさせる使命を負った主婦たちだったとされる。

 

  その後、社会主義計画経済が実質的に破たんし、なし崩し的な市場経済が進行したことで、巷には拝金主義がはびこることになった。その流れの中で、単に金儲けのために売春に走る例もあるだろう。  

 

    だが、このような大規模な組織売春グループが摘発された背景には、それとは違う事情もあると思われる。 「女子大生クラブ」の場合、首謀者らは「上納金ノルマ」に苦しむ学生らの弱みにつけこんでいた。

 

   財政難の北朝鮮では、国家が教育行政機関に、行政機関は大学や各学校に、上納金のノルマを課す。そして学校当局は、それを学生に転嫁しつつ、薄給の教員らがそこから自らの利益を確保するわけだ。

 

  上納金を払えない学生は成績や進路で不利益を被る。

 

 こうした仕組みが、大学以外の教育現場や、またそれ以外の現場にも作り上げられていると思われる。そして、それに苦しむ若者を搾取する大人たちが、あちこちにいるのだろう。』



  売春というのは世界最古の職業とも言われ、どの国でもあると言われている。
 ただ、北朝鮮の売春はちょっと他の国と事情が違うようだ。

 

 「地上の楽園」と宣伝し、日本からも多くの人が北朝鮮に渡った時代があった。 ところが、現在では「地上の楽園」どころか、経済制裁に加え、コロナの発生で密輸などもできなくなり、地下経済も止まってしまって北朝鮮の国民は貧困にあえいでいると言われている。

 

  自然災害などもあり、食料事情1990年代の大飢饉「苦難の行軍」と同じか、それ以上に悪化していると言われている。配給制はとっくに崩壊していて、給料だけでは食べていけない社会システムになっているようだ。

 

  経済制裁で出稼ぎも表向き禁じられているため、外貨獲得も思うように言っていないらしい。 そんな経済悪化を誰も改善できない。

 

 朝鮮労働党もそうらしく、全て根性論だけで実質的に何もせずに、地方政府に責任を丸投げしていると言われている。

 

  以前摘発された売春グループも単なる私腹を肥やすというだけではなく、「上納金ノルマ」というものが大きく関与していたらしい。
 
 財政難の北朝鮮では、国家が教育行政機関に、行政機関は大学や各学校に、上納金のノルマを課す。これって、行政とは全く別のことだろう。 北朝鮮で大学に行ける学生は金持ちだから、そこから金を捻出しようとしているのだろうか。

 

 但し、そういう金持ちの子弟ばかりじゃないから、こういう売春組織に女子大生が頼らなければいけない構造になるんだろうね。 給料が安い教員がそれに加担する。

 

 上納金がないと成績や進路で不利益を被るって、もう教育制度自体が崩壊しているよな。腐った組織では、人間も悪事に走るのも仕方がないのかもしれない。真面目にやっていたって、その努力は報われないのだから。

 

  北朝鮮では、戸籍によって住める地域も限られている。田舎から住居を平壌など大都市に移すのには、朝鮮労働党に入党するか、大学をきちんと卒業して就職するなど限られた方法しかないらしいのだ。

 

 日本のように自由に住む場所も決められないし、国内を自由に行き来もできない社会。 そんな絶望の未来を切り開けるかもしれない大学生。しかし、上納金という負荷がかかる。上納金の為に学生の売春が流行る。

 

  今回の事件は1都市だけでなく、大きな都市で売春ネットワークを張っていた点でかなり組織化され、動く金も大きかったと思われる。

 

 別の視点から言えば、言い方は悪いけど、その女性達を買う金持ちが大都市にはいっぱいいるということだよね。いくら売春したくても、金を払ってくれる客がいないと成り立たない。

 

 北朝鮮共産主義社会主義を目指しているはずだけど、結局多くの北朝鮮国民にとって資本主義の要素が主になってしまい、経済格差が大きくなっているということだよね。

 

 配給もなければ、もらえる給料では全く生活できないのが普通という恐ろしい社会。 社会主義計画経済が実質的に破たんし、自分の食料さえ満足なくても色々なところから上納金を搾取されるとなると、違法なことに手を染めなければ生きていけない社会構造ができあがっているのでは?

 

 見つかると処刑されても、このままではいずれにしても死ぬのだから、イチかバチかでやってみるという精神構造は理解できるな。

 

 しかし、違法なことをしなければ生きていけない社会って、そこまで崩壊してくると国家としていずれ機能しなくなるのではないのかな?

 

  核兵器を持たないと金王朝?は維持できないとはいえ、その前に国民が急激に減少すれば北朝鮮の国力はかなり衰退するのではなかろうか。
 それにしても、違法な社会で生きなければ状況って、ちょっと想像を絶するよね。