テスラの革命的戦略

サイバートラック

米国の電気自動車(EV)大手テスラは、4年弱ぶりの新モデル「サイバートラック」の納車を米国で始めた。同社が初めて手掛けた荷台付きピックアップトラックで、まるでSF映画の世界から飛び出てきたような近未来的な外観だ。

   ただ、見た目のインパクトとは裏腹に、業績への影響は限定的で、ブランドの宣伝効果にとどまるとみられている。

 人気のピックアップトラック市場で圧倒的な存在感を誇る米自動車大手3社「ビッグスリーの牙城を崩すのも容易ではない。(時事通信社ニューヨーク総局 武司智美)

 007シリーズに触発

 「未来がやっと未来らしく見えるようになる」。南部テキサス州オースティンの本社工場で2023年11月末に開いた「納車イベント」で、サイバートラックに乗って登場したイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、新モデルの先進性をそう強調した。

 19年に試作車を初披露してから4年。当初計画から大幅に遅れて納車にこぎ着けた。

 全長5.7メートル、幅2.2メートル、高さ1.8メートル、重さ3トン―。とにかく大きくて重い。納車に先立つ23年11月上旬、ニューヨークで開かれたイベントで展示されたサイバートラックを見た男性は「ワイパーまですごく大きい。まるで機関銃のようだ」と驚きを隠せない様子だった。

 ちなみに、トヨタ自動車のミニバン「アルファードは全長約5メートル、幅1.85メートル、高さ1.9メートル、重さは2.3~2.6トン程度だ。

 これでも駐車場によっては入らないことを踏まえると、サイバートラックがもし日本で販売されても置き場所の確保にかなり苦労しそうだ。

 特殊な「超硬質ステンレス鋼」を外装に使った、丸みのない角張った形状も目を引く。マスク氏によると、デザインは1980年代にヒットしたSF映画ブレードランナーのほか、007シリーズの「私を愛したスパイ」に触発されたという。

 インターネット上では、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーに登場するタイムマシン「デロリアン」に似ているとの指摘もある。

 2.6秒で時速96キロ  

  サイバートラックの特殊性は見た目にとどまらない。最上級グレードの「サイバービースト」は、停車している状態から時速60マイル(約96.6キロ)までわずか2.6秒で到達すると言い、重さの割にかなり高度な加速性能があるようだ。

  テスラは、ポルシェのスポーツカー「911」をけん引したサイバートラックと、「911」単体を約400メートルのコースで競走させる動画を製作。なんと、勝ったのはサイバートラックだった。

  防弾機能も備えているとされる。納車イベントでは実演されなかったが、マシンガンやピストルでドアのステンレス鋼部分を撃つ様子が動画で公開された。

 弾はいずれも外装部分で食い止められ、中は無傷だった。

 技術責任者は「成功だ」と親指を立てた上で、「映画(の描写)を信じてはいけない。通常の車では、弾が貫通して反対側から抜けて⾏くので、車の陰に隠れても安全ではない」と説き、サイバートラックの優位性を強調した。  

 なお、窓ガラスはさすがに防弾仕様ではないようだ。テスラは窓の強度について「時速70マイル(約113キロ)で飛んでくる野球ボールや、ひょうの衝撃に耐えられる」と説明している。

 墓穴掘った?  

  価格は3グレードあり、サイバービーストが9万9990ドル(約1450万円)、全輪駆動モデルが7万9990ドル(約1160万円)、後輪駆動モデルが6万990ドル(約880万円)。フル充電での航続距離は、それぞれ最大で約515キロ、547キロ、400キロとなっている。

  EV専業のテスラは22年に世界で約130万台を販売し、23年は180万台を目標に掲げている。23年1~9月の実績は約132万4000台で、目標を達成するには、10~12月に他の四半期を大幅に上回る約47万6000台を売る必要がある。

 その目標到達にサイバートラックが貢献するかと言えば、恐らくほとんどしないだろう。マスク氏は10月の決算説明会の際、年間の生産台数を最終的に25万台まで引き上げる方針を明らかにしたが、実現は25年に持ち越す見通し。

 量産化が難しい上、採算が取れるようになるまで時間がかかると言う。マスク氏自ら「墓穴を掘った」と口にし、苦戦している様子をうかがわせた。

 見込める「ハロー効果」  

 米国のピックアップトラック市場では、フォード、ゼネラル・モーターズGM)、ステランティスの「ビッグスリーが9割超のシェアを握っている。

 調査会社マークラインズによると、22年の米新車販売で上位10モデルのうち、5車種をピックアップトラックが占め、うち4車種がビッグスリーの車だった。

 テスラは売れ筋の電動スポーツ用多目的車(SUV「モデルY」が6位に食い込んだものの、ライバルの壁は厚そうだ。

 ビッグスリーもこの数年、ピックアップトラックのEVモデルを続々と発売してきた。

 フォードのジム・ファーリーCEOはテレビのインタビューで「『リアル』な仕事をしている『リアル』な人たち向けに作っている」と胸を張った。

 一方、サイバートラックについては「シリコンバレーの人々のためにデザインしたいのであれば、いいだろう。ホテルの前に止まった高級車のようだ」と語り、自社製品とは別物だと強調した。

 ただ、ピックアップトラックを購入するのは、農林や建設の業務に使う目的の人だけでなく、ボートをけん引するといった趣味の利用、単に見た目やスタイルを追求して選んでいる層もかなり多いとみられている。

 サイバートラックは、こうした需要を取り込む余地がありそうだ。

 また、投資家らは、サイバートラックには「先進的」「他と違う」といったブランドイメージを人々に植え付ける「ハロー効果」が見込めると分析している。

 金融サービス業RBCキャピタル・マーケッツのアナリストは、「車の購入ではブランドが重要だ。テスラはサイバートラックによって、ブランドに対する関心と情熱を再び喚起しようとしている」と指摘。

 サイバートラックの市場投入が、売れ筋の「モデル3」や「モデルY」の販売増をもたらす可能性があるとみている。』

 テスラ電気自動車(EV)で伸びてきた会社だ。

 今回のサイバートラック投入は、その機能よりもイメージ破壊の宣伝効果の方が高いのではないかと感じた。  

 トヨタなどガソリン車で勝負するのではなく、別の土俵で勝負してシェアを奪ってきたテスラ。 CEOのイーロン・マスクTwitterの扱いなど見ても、独自に新しい革命と言えるようなことを行ってきているね。

 イメージ破壊というのは電気自動車のイメージ破壊のことだ。

 電気自動車と言えば、環境には優しいが、ガソリン車に比べてパワーやスピードなどで劣るというイメージを持っている人が多いのではないか。

 そこで今回のサイバートラックだ。
 外見もSF映画に出てきそうな形にしていてインパクトがあるが、それよりも機能だ。

 電気自動車でトラック。 
 パワーのイメージを壊している。

 『テスラは、ポルシェのスポーツカー「911をけん引したサイバートラックと、「911」単体を約400メートルのコースで競走させる動画を製作。なんと、勝ったのはサイバートラックだった。』
 ⇒ この部分はスピードを意識した宣伝だ。

 ポルシェという世界的に有名なスポーツカーと比較して勝ったというのは、相当インパクトがある。 

 サイバートラックには「先進的」「他と違う」といったブランドイメージを人々に植え付ける「ハロー効果」が見込めると言われているのも、そういう点だろう。

 従来の電気自動車のイメージを破壊することで、新たな顧客の層を獲得する種となる。  
 つまり、電気自動車パワーやスピードに劣るというイメージを持った顧客に興味を持ってもらいやすくなる。

  従来のイメージ破壊 → 新たなイメージ投入 → 新しいイメージの定着戦略

 特に今回はピックアップトラックだから、パワーは重要な要素だ。  
 そういう意味ではテスラの革命的ともいえる戦略だなと思う。  

 一般人で電気自動車とトラックが結びつく人はほとんどいないだろう。  
 顧客と獲得するためには、そのイメージを払しょくする必要があった。

 また、他のトラックと一線を介し、デザインも未来志向型のものとなっている。
 SF映画ブレードランナー」などを連想させる奇抜なデザイン

 この従来のピックアップトラックのイメージからかけ離れたデザインも、これからの新しい時代の車をイメージさせて素晴らしい。

 ピックアップトラックらしからぬデザインだよね。

 マシンガンやピストルでドアのステンレス鋼部分を撃つ様子が動画で公開されたのも、銃社会アメリらしいね。通常の車なら銃弾がドアを貫通するけど、サイバートラックは大丈夫と。

 またウクライナイスラエルのようにいつ戦争状態になるかわからない不確定な世界に我々は生きている。

 危険地域でも命が守れる車としてなら、高くてもそれなりの需要は出てくるだろう。  
 ただ、そういう地域で満足にサイバートラックの充電できるかどうかの問題は出てくるけどね。  

 一番需要に合いそうなのが、麻薬犯罪組織などの反社勢力。
 自らの命を安全に守り、薬物などの物資を運ぶのが仕事だとしたらね。  

 いずれにしても、従来のトラックとは一線を介したサイバートラック。  

 開発費もかかるかもしれないが、サイバートラックは世の中の常識を変える力を持っている。

 値段は高くてもテスラの自動車のコンセプトは、アップデートをすれば最新状態が維持できるというもの。  パソコンのようにデータを更新して不具合を調整していく。

 テスラ車自動運転も可能と言われている。  
 サイバートラック自動運転が可能なら、危険地域で運転しなくて防備に集中できるなどのメリットが出てくるかもしれない。

  このサイバートラックの進化は、今までの常識を次々に破っていく可能性を秘めているね。  
メガブロック(MEGA BLOKS) テスラ サイバートラック 【14才~】