仮想通貨が人気の国の秘密

アルゼンチンで仮想通貨が人気  

 

 『[ブエノスアイレス 30日 ロイター] - アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの繁華街にあるカフェ「クリプトステーション」では、暗号資産(仮想通貨)相場をリアルタイム表示するスクリーンや「ビットコイン」の巨大なネオンサインに囲まれて、今どきの若者たちがカフェラテやスイーツを注文している。

 

 支払いも仮想通貨で行える。

 

  アルゼンチンインフレ率が足元で60%近くまで上昇し、倹約に努める市民は何年も続くつらいインフレから身を守るため、仮想通貨に引き込まれている。
 
 仮想通貨は最近相場が暴落し、ビットコイン法定通貨に採用した中米エルサルバドルでは問題が起きているが、お構いなしだ。  

 

 クリプトステーション創業者の1人のマウロ・リバーマンさん(39)は「人々は国の環境に駆り立てられて仮想通貨で財産を守ろうとしており、拡大スピードが加速している」と話した。

 

 この店舗は仮想通貨の利用促進を狙っているという。
 仮想通貨は「中南米全域で成長の可能性がものすごく大きい」とリバーマンさん。

 

 アルゼンチンではユーザーの大半が貯蓄手段として購入しており、「雪崩のようで、止めるのは不可能だ」という。

 

 アメリカス・マーケット・インテリジェンスの4月のリポートによると、アルゼンチンにおける仮想通貨の普及率は12%で、メキシコブラジルの約2倍。

 

 最近のチェーンアナリシスのリポートによると、ハイパーインフレに悩むベネズエラは普及率がさらに高い。

 

 <インフレが後押し>
  アルゼンチンは通貨ペソが今年に入って対ドルで14%も下落し、信認が傷ついたことが仮想通貨普及の引き金になった。

 

 個人が購入できる米ドルに月200ドル(約2万5600円)の上限を設ける資本規制も仮想通貨の利用促進に拍車をかけている。

 

 4月の年間インフレ率は58%に上昇し、年内に70%に達する可能性がある。
 
 テラUSDテザーなどステーブルコイン(法定通貨の価値に連動する仮想通貨)の価格が下落し、ビットコインが1年4カ月ぶりの安値を付けるなど、仮想通貨はこのところ大きく値を下げているが、それでも魅力的なのはこの高いインフレ率が原因だ。

 

  ブエノスアイレス州のIT専門家、ビクトール・レブレロさん(44)は、月200ドルの上限までペソをドルと交換した後は、余裕資金を毎月ステーブルコインビットコインで貯蓄している。ペソ建ての定期預金はしていない。

 

 「基本的にその方が失うものが少ないから」とレブレロさん。「アルゼンチンのインフレ率は60%から70%だけど、定期預金の金利は30%から35%だから追いつかない」

 

  レモン・キャッシュブエンビットなどアルゼンチンで業務展開している仮想通貨プラットフォーム運営会社によると、ユーザーの裾野は昨年急激に広がったという。

 

  アルゼンチン中銀は不安定なデジタル通貨に投資するリスクを繰り返し警告しており、慎重な市民もいる。

 

 自営業のコンピューター技術者、マルセロ・ビラさん(37)は、今のところビットコインイーサリアムに少額を投資しているだけだ。

 

 「仮想通貨に投資するお金の割合を徐々に大きくしていく考えだ。でも仮想通貨市場を理解するまでは、それほど多くを振り向けられない」と話した。

 

  一方、首都郊外の貧しいエスコバル地区出身のセバスチャン・カルソリオさん(23)は、仕事で使うパソコンの部品を再利用して組み立てた自作の仮想通貨「鉱山」を使い、貧困から抜け出そうとしている。

 

  自宅のスクリーンには採掘(マイニング)の様子が映し出されていた。「
 修理してコンピューターに組み込んだ」とカルソリオさん。手始めがイーサリアム、次がビットコイン

 

 おかげで土地を買い、学校に戻ることができた。
「貯蓄するのに良い方法だから採掘を続けていく」と語り、市中の交換所よりも有利なレートでペソと交換できると説明。

 

「お金がないとき、採掘で何度も救われた」と話した。 (Hernan Nessi記者、Agustin Geist記者)』

 

  最近、ビットコインをはじめ仮想通貨全体が暴落していて、ビットコイン法定通貨にしたエルサルバドルなどはかなり苦労しているというニュースも出ている。

 

 いま、ビットコインを買えば、もっと保有できるビットコインは増えていたはずだからね。
 国家予算がそれほど大きくない国としては、大きな問題だろね。

 

  それでやっぱり仮想通貨はダメだという論調も出ているが、暗号資産についてはずっと賛否両論の意見があるのは事実。

 

  仮想通貨はどの立場で見るかによって、大きく見方が変わる。 特に先進諸国と途上国では、全く真逆の傾向がみられる。 それは生活基盤が仮想通貨なしで何も問題ないか、どうかにかかっている。

 

  その中でも貨幣というものの信頼性が一番大きい。

 

  かつてのジンバブエのように、インフレ率がメチャクチャで高額紙幣乱発しているような国では、国民が自国のお金について信頼を持っていない。

 

  自国を出ると、つまり海外へ行くと、その国の貨幣は無価値になってしまうようなことも実際にあるのだ。 だから、そんな国の国民は、自国の通貨を米ドルなどのハードカレンシーに両替して保存してきた。

 

 そんな中、仮想通貨が登場した。米ドルなどの両替は手数料もそれなりにかかるし、現物が足りないという事態だってある。 その点、仮想通貨は手数料は安いし、銀行口座がなくてもスマホがあれば、仮想通貨コインウォレットをダウンロードしてすぐに利用できる。

 

  日本では考えられないが、途上国では銀行口座を持っている人がとても少ない。一般人は銀行に行ったことさえないという人も多いのが現状だ。

 

  日本では1人が色々な銀行の口座を開設し、複数持っているというのは普通だから、状況が全く違うのだ。一方、スマホの普及率は途上国でも高いからね。スマホで金銭のやり取りなどができるのは便利だ。

 

  今回のニュースは南米のアルゼンチン

 

  アルゼンチンのインフレ率は60~70%らしい。 これだと銀行預金の利率が50%あったとしても、価値は減っていくことになる。

 

  現在の日本の銀行の利息を考えると嘘みたいな50%という利率でも、銀行に預けると今買える物が1か月後には買えなくなるような事態が起こってくる。

 

  だから、アルゼンチン国民はなんとかして自分達の資産を守ろうといしているのだ。 そこで注目されたのがビットコインなんどの仮想通貨

 

 先に述べたようにビットコインもボラリティが大きく、価値がの変化は大きい。 だけど、仮想通貨の中には米ドルに連動するテザーなどのステーブルコインというものがある。

 

 こちらだと、米ドルのアルゼンチンペソに対する利率とほとんど変わらないことになる。

 

  中南米では、仮想通貨に注目している国が広がってきた。
 それだけインフレなど経済が安定していないということなのだろう。

 

  ベネズエラなどは独自のコインを作ったりしていたしね。 ようやくコロナが収まりつつあるかと思えば、ロシアのウクライナ侵攻で、石油や小麦粉などの食料が世界的に値上がり傾向にある。

 

  観光産業などコロナで大打撃だったからね。だけど、石油や小麦粉などの値段が上がると、飛行機代や現地の食費、移動費は確実に上がるだろうから、またもや観光再開に水を差すという形になるだろうね。

 

 そうなると経済インフラが脆弱な国は、なかなか経済立て直しが難しくなる状況だ。
 
 仮想通貨はリスクもある。 だけど、それ以上に自国の経済や通貨の方がリスクが大きいと思われる国では、どんどん仮想通貨が広まっていくだろう。

 

  ニュースの最後に載っていたマイニング

 

  ビットコインなどいくつかのコインではマイニングといって、ブロックチェーンの計算をすると、報酬としてビットコインがもらえるというシステムがある。

 

  ただ、ビットコインのマイニングは高性能の機械がないと難しいと言われているし、電気代がかなりかかることでも有名だ。

 

 その為、電力不足などの問題があちこちで起こった。中国政府などはマイ二ング全面禁止にしたほどだ。

 

  仮想通貨のマイニングは電気代が安い地域でないとペイしないという状況もあり、アルゼンチンでどこまでできるのか、よくわからない。 ただ、アルゼンチン南部は、南極に近いからマイニング時に熱を持って機械を冷却するための電気代などは節約できるだろう。寒くて、電気代が安い地域が有利だ。

 

「お金がないとき、採掘で何度も救われた」という人がいるなら、これからアルゼンチンでも個人レベルで仮想通貨のマイニングが広がっていくかもしれないね。