デジタル給与を考察する

デジタル給与

 

 

『企業が従業員のスマートフォンの決済アプリの口座などに直接払い込む「デジタル給与」が、来年4月に解禁される見通しとなった。

 

 政府が推進するキャッシュレス化に向けた新たな選択肢として、給与を受け取る従業員の利便性向上が期待される。
 一方、企業内の事務負担増加など課題も多く、普及するかどうかは不透明だ。

 

 給与のデジタル払いが可能になると、「PayPay(ペイペイ)」や「楽天ペイ」といったスマートフォン決済サービスに、口座残高100万円を上限に直接入金される形となる。

 

  現在一般的になっている銀行口座への振り込みと比べ、口座から現金を引き出すなどの手間が省けるようになる。  

 

 決済サービスを手掛ける資金移動業者は、「ユーザーの利用機会の拡大や決済金額の増加が見込まれる」(ペイペイ)など前向きに受け止める。

 

 兼業・副業が広がる中、給与の受け取り方の多様化に結び付くほか、国内で銀行口座を開設しづらい外国人労働者への給与支払いが簡単になるという。

 

   一方、これまで給与振り込みを一手に担ってきた銀行業界からは、デジタル給与の浸透に疑問の声も出ている。

 

 ある関係者は「既に銀行振り込みを受けている人が、変更手続きをしてまで移行するほどニーズは強くない」と分析。企業の給与担当部署の事務作業が複雑化することや、銀行振り込みと同程度の高い安全性や安定性を確保できるかといった懸念もある。

 

 厚生労働省は21日に、デジタル給与をめぐるパブリックコメントの募集を締め切り、制度化に向けた詰めの作業を進める。全国銀行協会の半沢淳一会長は「利便性と安心・安全を両立した実効性のある制度設計が必要」と指摘している。』

 

  企業が従業員のスマートフォンの決済アプリの口座などに直接払い込む「デジタル給与」が、来年4月に解禁されるようだ。

 

  海外ではボラリティが高い仮想通貨払いなどもあるくらいなのに、ようやくかという感じ。 日本はデジタル関係で世界からかなり遅れている。

 

  スマホで決済なんて、かなり当たり前になりつつある。

 

  アフリカ諸国でも多くの人は銀行口座はないが、スマホは持っているので、逆にスマホ決済などが急速に進んでいるという。リープフロッグ現象が起こっているのだ。

 

  リープフロッグ現象は、既存の社会インフラが整備されていない新興国において、新しいサービス等が先進国が歩んできた技術進展を飛び越えて一気に広まること。

 

  銀行や電話など社会インフラ未整備だったものが、スマホやネットや決済システムなど新しい技術で、一気に先進国に追いついてきている。

 

 いや、それどころか、日本は電話や銀行決済に慣れてしまって新技術が普及しないというデメリットも起きている。

 

「既に銀行振り込みを受けている人が、変更手続きをしてまで移行するほどニーズは強くない」とか言っているけど、老害の頭の弱い人間の行っている戯言だ。

 

 大体、デジタル給与が解禁されたからと言って、全部それに切り替えろという話ではない。従来通りに銀行振り込みでもOKなわけだ。 会社によっては、そのままの所もあるだろう。

 

 給与払いの選択肢が増えるというだけのことで、強制ではない。

 

  企業が従業員に払う給与は、スマートフォンの決済アプリの口座などに直接払い込む「デジタル給与」でなければいけないというなら、そういう議論もわかる。 そこを履き違えて、何でも新しいものに抵抗する輩がいる。害でしかない。

 

 きちんと分析して、理由があるならいいが、そもそもニーズが強いかどうかがどうしてわかるのか? 自分達の都合の良い感覚だけとしか思われない。それとも、何百人にアンケートを取ったりしたデータでもあるのだろうか?

 

 そんなのは会社や個人によって事情が違うのだから、企業の給与担当部署の事務作業が複雑化することでデジタル給与払いが不都合であればやらなければいいだけの話だ。その決定権は企業にあり、選択肢を増やす政策を邪魔する話ではない。

 

  銀行振り込みと同程度の高い安全性や安定性を確保できるかといったものも、そういう懸念が多れば、ビジネスチャンスととらえて決済技術セキュリティシステムが進歩していくだろう。そいうやって人類は進歩してきたのだ。

 

  そもそも今でも「PayPay(ペイペイ)」や「楽天ペイ」といったスマートフォン決済サービスが使われて、もっと普及させようとしている人達もいる中で、安全性や安定性を言い出す根拠は何なのだろう?

 

 そういう主張の多くはデジタル化に乗り遅れた年配が多い気がするし、年功序列の意識が残っている日本ではそういう年配の意見を無視できない事情もありそうだ。 それが「失われた30年」と言われる日本を作り出し、ユニコーン企業が出なくてアメリカ、中国などに大きな差をつけられた原因ではないのか?

 

 まあ、デジタル決済が進めば、かなりの銀行が倒産するだろうね。そういう既得権者からの抵抗はある。 でも、それは個人的には自業自得だと思う。

 

  銀行の利子は100万円を1年預けてもわずかなのに、休日などにATMでお金を引き出したりするのに何百円を取ったり、最近ではコインを預けるのにもお金を取るような真似をしている。預金額などあっという間に相殺されて、赤字だ。そもそも このご時世でも、銀行員の給与も高い方ではないのか。



 デジタル給与振り込みなら、一瞬で口座に振り込まれるし、支払い時にも時間がかからない。ATMのように時間帯によってはけっこうな手数料を取られることもなくなる。しかも、銀行やコンビニなどに行ってお金を引き出すという作業もなくなるかあら、時間も節約できる。

 

  また、外国人労働者にとってもメリットが大きい。技能実習などの制度ができて、日本にも多くの外国人が働きに来ている。 そういう外国人や企業にとっては、銀行口座開設や閉設などの手続きは負担になっている。

 

 言葉やシステムを理解していない外国人が一人でそのまま手続きするのは難しいので、付き添いが必要だ。そういう人件費や時間なども節約できる。

 

 将来的には国を超えて使用できるようになると思う。 今、海外から日本へ送金、逆に日本から海外に送金する場合は、かなりの手数料と時間がかかる。それがなくなるのだ。

 

 実際、仮想通貨などにすればそういう手間はなくなる。エルサルバドルなどは仮想通貨のビットコイン(BTC)を法定通貨にしたのだ。

 

 日本円で入ってる「PayPay(ペイペイ)」口座で、海外へ行ったときにQRコードで払えば現地通貨のレートで計算して引き落とされるシステムになれば、メチャ便利だよね?

 

  ここでも空港などで高いレートで両替をしている銀行は潰れていくだろうけどね。

 

 ただ、日本の理解できない輩がいくら抵抗しても、世界がどんどん先行すれば日本も追随するしかないのだ。それだけ世界は狭まっている。

 

 その場合は、日本は遅れた国というレッテルを貼られて、先進国からも脱落。ビジネス的にもおいしい所は、全て海外企業に持っていかれているような事態になっていそうだけど。

 

 政治家においても二世、三世が増えたり、政策を牛耳っている大臣の大半が60歳以上という日本では環境は悪いといわざるを得ない。台湾のデジタル発展省の大臣で世界的にも有名になったオードリー・タン氏は41歳だからね。

 

  それでも世界から遅れていることに危機感を持つ人が出てきて、日本もようやくキャッシュレス化に向かっているんだから、しょうもない反論を載せている場合ではないのだ。

 

  決済や振り込みの選択肢が増えるのと、それを強制して罰則を設けるのとでは全く違う話であり、それが認識できていないから、こういう低いレベルの議論になってしまうんだろうな・・・。

 

 そもそもデジタル給与に勝るメリットを銀行が消費者に提供できれば、いいだけの話だよね?
 それが企業努力というものだろう。これまで銀行がつぶれると困るということで、政府がお金を出して救済措置をしてきた歴史があるから、銀行は甘えている面もあるのではないかと勘繰ってしまう。

 

  デジタル決済や振り込みの選択肢が増え、それでも普及しなかったら、政府が何が原因かPDCAを回して、トライ&エラーを繰り返して良くしていけばいいだけの話。海外では参考になるケースが山ほどあるだろう。

 

 ユニコーン企業がなかなか出てこない日本では、そういう世論を作ることも必要なのかなと思う。 島国独特?のガラパゴス意識をさっさと捨て去らないと、どんどん世界からおいていかれる気がする。

 

  これまでは日本独自システムでも1億人以上の人口を抱え、それで商売もできていた部分もあっただろうけど、今後は少子高齢化で日本の人口は減少。

 

  高齢者は若者や中高年ほど生活費や趣味などにお金を使わない。つまり、消費活動は鈍化していくと考えた方が良い。そうなると日本市場だけを見ていても、ビジネスの先行きは暗いよね?